哲学は、広範な問題意識と緻密な思考力を要求する学問であるため、みなさんのなかには哲学にある種の「近寄りがたさ」を感じておられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、哲学は、この世界でさまざまな疑問や問題に直面した私たち個々人が、その究極的な解決を自分自身の生き方に照らし合わせてどこまでも追究していく知的営為であり、その意味で、私たちにとってこれほど「身近な」学問はないともいえるのです。
当研究室では、哲学本来の立場を基本としつつ、原典の厳密な読解や議論の分析・検討を通して本物の思考力を涵養すべく研究・教育活動を行っています。学生のみなさんは、哲学の歴史の中から自由に題材を選んで学ぶことができますが、その題材に応じて哲学史や探究領域の深い理解、外国語の素養、論理学の修得などが必要になります。なにより、積極的に教員からの助言を求めて自主的に研究していく姿勢が求められます。
本研究室には例年、学部生・大学院生がそれぞれ20名程度在籍しています。さらに、博士候補研究員や博士研究員も数名所属しており、多様な研究段階にあるメンバーが互いに刺激を受け合う環境です。
演習では、納得いくまで質問、討論することができます。卒論では、プラトン、アリストテレス、デカルト、ヒューム、ロック、カント、ミル、ヘーゲル、フッサール、ハイデガー、デリダ、フーコー、ラカン、西田など、古今東西の哲学者だけでなく、倫理学、認識論、宗教等の種々の現代的なテーマも扱うことができます。
年間行事
- 4月 名古屋大学哲学会、新入生歓迎会
- 8月 オープンキャンパス
- 9月 夏合宿
- 2月 4年生送別会
- 3月 卒業生を囲む会
このほか、読書会なども随時開催しています。
最近の論文題目
博士論文
- 持続への回帰―ベルクソン「持続」概念の探究―
- ウィトゲンシュタインの後期哲学についての研究― 確実性について―
- 前期ハイデガーにおける生の哲学
- ジョン・ロールズの正義論
- The topology of “true nothingness”: A genealogy of Kitarō Nishida’s conception of “basho”
- 構造主義言語学における『音素』概念の存在論的考察
- メタファーに関する哲学的・認知言語学的考察
- 小林秀雄批評の哲学的分析—ベルクソン哲学の視点から—
- ハイデガー哲学における自由の問題について—基礎存在論とは何か—
- ハイデガー『存在と時間』における実存と真理
- 経験機械・偽りの快楽・異質性問題――福利論における快楽説の擁護――
修士論文
- アリストテレスとアナクサゴラスの世界理解の比較
- プロティノスによる世界万有の生成の説明体系
- 人工妊娠中絶との関連における胎児の道徳的地位の哲学的検討―英米倫理学における議論を中心に
- レヴィナスにおける逃走の行方
- アーレント物語論における「物語」とは何か
- リサ・フェルドマン・バレットの構成主義的情動理論の検討
- 心の哲学における媒体外在主義の検討
- スピノザの「力能」とショーペンハウアーの「意志」
- カンタン・メイヤスーにおける『偶然性』について
- 道徳的真理とは何か
- 破壊する/される基底材―中-後期デリダにおける言語論
- 初期レヴィナスにおける存在論と他者論
- 解釈的不正義の不正さについて
- アリストテレス『ニコマコス倫理学』における倫理的知識の探求方法
卒業論文
- ペーター・スローターダイクにおけるシニシズムについて
- エーリッヒ・フロムにおける生産性(productivity)と疎外(alienation)の関係
- アルチュセールとイデオロギー論――ラカン派精神分析との接合について
- あってもいい偽善――福田定良『偽善の倫理』における人間論
- マクタガート時間論の検討
- 物語的自己について
- 小説と興味関心の発散について
- マキァヴェッリ『君主論』における喜劇性と即物性――15世紀後半からのイタリア半島の社会批判
- 人生における宇宙的な意味の不在について
- 駆り立てられる人間の幸福をめぐって――フロイトのメタ心理学によせて